「パッシブデザイン」ならではの良いところって?
光熱費削減!パッシブデザインの冷暖房
パッシブデザインは建物そのものの設計を工夫することによって自然エネルギーを取り入れ、「冬は暖かく、夏は涼しく」を可能としています。ですので、暖房冷房、照明機器などの使用を最小限にすることを目的としています。
日射遮へい(にっしゃしゃへい)を活用しましょう
パッシブデザインにおける日射遮へいは夏などに室内に入り込むきつい日差しなどを遮り、室内を涼しく快適に保つことです。それにより、冷房エネルギーの削減効果も期待できます。
一口に「日射遮へい」といってもパッシブデザインには様々な工夫があります。
・窓から入る日差しを防ぐ
・屋根や外壁に当たった日光をはじく
・断熱によって屋根や外壁から室内に入り込む熱を減少させる
・通気・換気によって屋根・外壁から入る熱を減少させる
といったような手法です。
重要なのは「窓」!
特に「窓」からの日差しを防ぐことが一番となります。
夏の熱の7割以上が「窓」から侵入するからです。
窓の「日射遮へい」に関しては、
・効果の高いガラスのセッティング
・カーテンやブラインド、障子やシェードの「日射遮へい部材」の活用
・庇などの工夫
が効果的です。
ポイントとして「ガラス」は住宅の特性にあったガラスを選びましょう。「日射遮へい部材」は外部に遮へい部材を設置した方がより効果的な遮へい効率を得ることが出来ます。「庇」については一番暑い、夏の昼を想定して検討しましょう。
パッシブデザインは「お得に」暮らせます!
当然ながら、光熱費は減少するでしょう。考えられたパッシブデザインというのは、全ての機械設備を省エネ型にし、ソーラーパネルなどを付けなくても大幅な光熱費削減が見込めます。太陽光発電をつけるとしたら、光熱費がゼロになり、それどころか蓄電・売電も見込める住まいになるのです。
活用!自然エネルギー!
日本は本来、自然豊かな風土と気候を持っています。「パッシブデザイン」は「季節を通して心地よい住まい」を目指しています。
昔から自然と上手く付き合ってきた我々は機械が発達するに従い、電気・ガスを使用し、設備に頼って空調を管理するようになってしまいました。地球温暖化を加速させたのもその原因の一つと言われるでしょう。
自然エネルギーを活用したパッシブデザインは機械に頼らず、「冬は暖かく・夏は涼しく」を実現し、さらに「明るく、風通しの良い」新しいデザインとして注目されています。
「パッシブデザイン」にも必要な換気
どの住宅にも24時間換気システムが義務化されるようになりました。これは、カビやハウスダストなどによって起こる「シックハウス症候群」を防ぐためです。
24時間換気システムは、窓を開けなくても空気の入れ替えが可能です。24時間換気システムは、給気・排気の組み合わせにより3種類あります。「第2種換気方式」は一般住宅ではほとんど採用されることはないので、ここは一般的なお家に使われる2種類の換気方式について解説します。
第3種換気方式は一般的な住宅に多い
パッシブデザインは窓以外にも換気システムに注意する必要があります。一般的な住宅に使われている換気は「第3種換気方式」といい、給気は給気口から自然に行い、排気は換気扇などの機械を使って行います。ただし、この方式では給気が自然に行われるので、室外の空気がそのままの温度で室内に入ってきます。結果、エアコンに頼る必要が出てきます。せっかくパッシブデザインを採用したのに、エアコンの稼働率を上げては意味がありません。
パッシブデザインにおススメなのは第1種換気方式!
パッシブデザインのお家にオススメしたいのはこの「第3種換気方式」ではなく、「第1種換気方式」です。この方式は給気と排気を機械システムにより強制的に行います。機械で行いますので給排気が安定的に出来るので、空気の循環が均一になります。
ただ、デメリットを言えば、導入の際の機械自体にかかるコストが高いというところです。
しかし、長い目で見れば「第1種換気方式」をオススメいたします。その理由は光熱費が抑えられるからです。一般的な住宅で採用される「第3種換気方式」はエアコンの稼働率が高く、光熱費がアップしがちです。建築時点でのご予算に余裕があるのでしたら、「第1種換気方式」で後々の光熱費を抑える方が、お得に生活出来ます。
パッシブデザインに「第1種換気方式」を組み合わせることによって「夏の暑い空気」、「冬の寒い空気」を防ぐことが出来ます。より、夏は涼しく、冬は暖かい家を実現することが可能です。
実際に住んでみてわかる夏と冬のちがい
パッシブデザインを設計するにあたり、冬の寒さを防ぐためにたっぷりと日差しが入るお家にしたとします。メリットとしては、冬の暖房がいらず、設置した暖房器具も補助的な役割にしか使わない理想的なお家が出来ます。しかし、そのようなお家を設計した場合、真夏の昼は対策をしないとすごく暑さを感じるお家になってしまいます。
そのように「冬」に重点を置くか、「夏」に置くかによってパッシブデザインのお家の造りは変わってきます。「夏は涼しく、冬は暖かい」が基本ですが、設計からそれらを取り入れるため、その土地の風土や間取りによってもパッシブデザインの作り方は違ってきます。
前述したように「夏の日差しが暑い」お家も、窓を開けると自然の風がさらさらと入っていくような涼やかな設計にすることも可能です。
そのようなパッシブデザインの特性を踏まえた上で設計士さんとは綿密に打ち合わせする必要があります。
まとめ
「パッシブデザイン」について解説してまいりましたが、いかがでしたでしょうか。
設計手法としてはまだまだ新しく、知られていない部分がありますが、自然エネルギーを活用した快適な住まいの一手段だと思います。機械に頼らず、光熱費も抑えることが出来、明るく風通しの良い住まいは理想的ですよね。
その分、通常より建築素材などを選ぶため、コストがかかりがちですが、その後の光熱費を抑えることも出来ます。建てる土地や風土によってもパッシブデザインは向き不向きがあります。メリット・デメリット双方を検討しながら、パッシブデザインを活用してみてください。
そのためにも、パッシブデザインを頼む際には建築事例を持ち、専門知識のある施工会社を選ぶことをオススメします。専門家にアドバイスをもらいながら快適なお家づくりを実現させましょう。